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「有給休暇希望届」
大人が両の腕を伸ばせば窮屈に感じるほどの狭い路地、
両側ともにブロック塀が建っているせいで、さらに狭苦しさが増している
路地に刻まれたわだちは一本きりなので、
おそらく歩行者かせいぜい自転車位しか通ることも無いのだろう。
これが肌寒い季節の夕刻なんかであれば、寂しさが増す場所だ、と感じたかもしれないし
また、夜にここを一人で通るのは少し薄気味悪いと感じたかもしれないが
幸い今は昼過ぎだ、日が高い、この狭い路地も隅々まで日光を浴びている
壁際に生えている草たちも、他所の土地よりも少ない日照時間で
光合成に精を出しているに違いない
こういう時間の狭い路地は途端に趣を変えて目に映り、私の冒険心をくすぐった。
セミこそ鳴いてはいないが十分暖かい季節であることも手伝って
実際、私はこの路地に足を踏み入れていた。
よそ者が踏み入れることが無いであろう、この路地から見える他人の家屋やその裏口
そして裏庭に積まれた各家庭独自の生活の痕跡を覗き見することへの
軽い罪悪感を楽しみながらゆっくりと歩を進めていき、
先週降り続いた雨に落とされた木蓮の花が
ぬるぬるとした物体に変わり路地を覆っている場所を
滑らぬように足元を注視しながら歩いていると、
路地の先からカサカサという乾いた足音が近づいてきた
明るく挨拶をしたものか、素知らぬ顔ですれ違うだけにするかと少し考え、
セールスマンと勘違いされても面白くない。と考えた所でふと自分に苦笑した。
ジーパンにトレーナーそして運動靴の人間を、よもや物売りだとは思うまい
せいぜい、この近辺で犯罪などが起こったときに不審な歩行者として、
モザイクつきのご近所さんにマスコミで報告されるのがオチだろう。
目前に迫った足音に今作ったばかりの笑顔で面を上げると
カサカサとした足跡の主は、人では無いどころか哺乳類ですらなく
類で言えば鳥、目で言えばペリカン、科で言ってもペリカン、
すなわちいわゆるペリカンが歩いて来た。
あまりに予想外の歩行者に私は立ち止まり、
そのペリカンから目を離すことが出来ないでいた。![]()
ペリカンはとっくに私を認識していた様子で、
くちばしをカタカタと鳴らしながらこちらに歩いてくる
そして、両方の翼を大きく広げて立ち止まった。
本物のペリカンは自分の知識の中に有るソレとは違い、大きく凶暴に見えた
翼を広げると狭い通路の横幅位あり、すれ違うのは無理のようだ
私は、この通路の端から端までを占拠している物体に
「なんだよ、どけよ!」
と、恐る恐る言ってみたが
私の言葉遣いが気に触ったらしく、ますます大きく翼を広げて
行く手を遮ろうとする。
正直、逃げ出したい衝動に駆られていたのだが、
何故か、哺乳類対鳥類の対決、その代表選手になったような気がして
後ろには下がらないという、独りよがりな使命感が頭をもたげてきた。
うまく、気が向けば 続く
管理人
オチはご自分で・・・なぁんてオチじゃないのよねぇぇぇぇ?
と、山に向かって叫んじゃって。。。
ごめんなさいね
あげはきんぐだむほーむ